今宵酔い月の下で。
|
その日はとても晴れたとても寒い日で、これからの季節を考えると憂鬱になりそうな、そんな日だった。
それでもまあ、なんというのだか、誕生日だったのだけれど。 後で聞いた話だが、実のところサプライズ企画を提案してくれたのは我らがツンデレエース様だったのがなんとも吃驚するところなのだが、部活が始まる間際に入った一本の電話で、高尾はその日を諦めた。 高尾はその日から、自分の誕生日を祝わなくなった。 「まあ、とやかく言うつもりはないさ。」 カラオケで注文したケーキは割高で、珍しく赤司の奢りで、緑間が参加しているので伊月は未成年喫煙を封印し、表面の乾いたスポンジが喉に引っかかるなぁと、なんとなく思った。 「生まれた日ってどうでもいいと思いません?」 「どうだろうか。」 「えー?だって歴史の偉人でも誕生日誕生年わかんないひとザラでしょ。」 「それは年の数え方にあるのだよ。」 「あ、カゾエドシ?」 あれって数え方ややこしーんだよねー、と伊月が笑ったので、数えだったら僕も成人してるけど、と赤司は言いやった。 「生まれ日の否定を俺はとやかく言う積りはないのだよ。」 真太郎がいいならそれで、と赤司は納得しているが、家族の記念日には休暇が当然!なお国で人生の半分を過ごしてきた氷室は、どこか悔しそうだ。 「どんなひと、だったの。」 「どんな。」 どんなってもなぁ、と高尾はひとつ苦笑して。 「天に唾吐く行為、って、タッちゃん解る?」 そう、自嘲気味に、それでもいつも通りに彼は笑って、遊んで、歌って、それでもやっぱり気が済まなかった氷室に、生まれ日が終わってから祝いの言葉を告げられた。因みに緑間は赤司が寝入ったころに帰った。彼も受験生の身である。 「高尾が生まれた日は、いつでもいいよな。だったら。」 「ああ、そういう解釈も出来ますか。」 「誰でも生まれて誰でも死ぬんだ。ここでこうやって呼吸をしていることが、実におめでたいじゃないか?」 なァ?と口の端を吊り上げて笑った伊月に、そういう考え方もアリっすねぇ、なんてどうでもよさそうに高尾は笑った。 結局翌日の公園に顔を出した夕方、大坪やら木村やら宮地やらに囲まれて、実に不器用に祝われている姿は見ることになるのだが。 結局他人のことなど他人は気にしないという話。 |
***
高尾くん誕生日おめでとう!! そしてNO犯罪!YES萌え!!
2012年11月21日 21:05初出。
高尾誕生日今宵。高尾だしこのタイトルかなーっと。
一応高尾のバックボーンもある程度考えてはいるんですが、ストーリー変わっちゃうwってんで描いてません。
20121206masai