それは一つのサイコロから始まった。











今吉探偵と伊月助手と花宮助手とクトゥルフ神話。@











「・・・麻雀飽きた。」
「・・・翔一さんの一人勝ちですからね。」
「金賭けてへんだけマシや思いー。」
正月明けの暇の時間を今吉探偵事務所の三人は麻雀で潰している。牌を洗う音にじゃらじゃらと室内が騒がしい中、コツンと親を決める際に使用した賽子が床に落ちた。
「・・・さいころ。」
「賽子だな。」
「賽子やね。」
「あっ。賽子使ってやるゲームありますよね。」
「すごろく?」
残念やけど双六はこの事務所置いてへんで、と今吉は首を傾げた。
「いや、あれですよ、最近巷で噂のTRPG!」
「自分でキャラクター作って探索やらしていくアレか。」
「判定とか賽子で決めるアレ?」
「それです。翔一さん、何かネタありませんか?」
「あるけど・・・。」
「あんのかよ。」
「昔作ったヤツやから・・・。」
「しかも自作!?」
「下らんよ?」
「TRPGと聞いて!!」
ノックも無しに、ばんと開かれた扉を三人が振り返ると、あけましておめでとーございますっ、と笑った高尾和成の姿があった。背後には緑間の長身もある。
「は?」
「今年もよろしくお願いしますって世話になったとこ言って回ってたんすよ!ここラスト!緑間人脈半端ねぇ。というわけで、TRPGと聞いて!!」
「あけましておめでとうございます。」
「おめでとさん。緑間クン、そのえらいやかましい鷹の嘴縫い付けてええかな。」
「ひどいっ!あっちこっちの卓では名KPと名高い俺に向かって!!」
メタいわ、と花宮が言い捨て、とりあえず伊月は珈琲と紅茶の準備に立ち上がった。
「迷KPの間違いちゃうのん?」
「それはやってみてから判断してください。俺がKP、真ちゃんサブで進行しちゃいますよ☆」
「ふむ。」
「因みにシナリオは?」
「職業とかどうします?」
「月ちゃん、経験あり?」
いいえ、と伊月は首を振る。
「テーブルトークはメンタル強化に人狼はやります、時々部活で。」
「大丈夫か誠凛籠球部。まこっちゃんは?」
「俺も実地になんねぇテーブルトークは初めてだ。」
「あ、せやったわワシもそうやわ。シミュレートとテーブルトークは似て非なるもんやからな。」
ふむふむとふたつみっつ今吉は頷いて。
「ほな折角やし、迷KPの腕前も拝見させてもらうわ。」
にぃっ、と伊月も花宮さえ背筋が寒くなるような笑みで高尾と緑間の着席を赦した。
「そんじゃまあ、PC作りから行きますね?」
「PC?」
「プレイキャラクターっすね。ゲーム内で自分になるキャラクタを作ってください。シナリオ上、名前から職業まできちっと決めちゃうほうがラクかな。」
「ただし、ステータスの全てはダイスの女神に委ねられるのだよ。」
「・・・ダイスの女神。」
あーあ、と高尾は少し笑って。
「賽子が時々変な出目を出すことがあるんすよ。それを女神のお茶目って呼んだり、出目が只管良いキャラはダイスの女神に愛されているのだよ☆ってことっす!」
ふうん、と伊月は指先に六面体を玩ぶ。
「職業めんどいな・・・。はっきりゆうて門外漢な分野もあるし・・・。」
「ならば私立探偵そのままで良いのでは。」
「あ、ええのそれ。」
「そんじゃそれ用のシナリオ作りますわ。年齢が実年齢かどうかはまあ、女神様次第ってことで、だいたい実年齢基準で行きましょっか。ではこっちの表を参考にダイスロールどぞ!」
STR 筋力 3D6 10.5
CON 頑健さ 3D6 10.5
POW 精神力 3D6 10.5
DEX 敏捷性 3D6 10.5
APP 外見 3D6 10.5
SIZ 体格 2D6+6 13
INT 知力 2D6+6 13
EDU 教育 3D6+3 13.5

〈アイデア〉
INT×5
〈幸運〉
POW×5
〈知識〉
EDU×5
正気度
POW×5。ただし99−〈クトゥルフ神話〉を上限とする。
耐久力
(CON+SIZ)÷2,端数切り上げ
マジックポイント
POW

ダメージボーナス
(STR+SIZ) ボーナス値
2〜12 −1D6
13〜16 −1D4
17〜24 ±0
25〜32 +1D4
33〜40 +1D6
41〜56 +2D6
57〜72 +3D6

*只今コロコロしています。暫くお待ちください。*

「期待値って何?」
「そのままなのだよ。このくらいの数値が基準である、という風に解釈すればいいと思います。」
「ほう、ほならちょいワシは精神力低めやな・・・。」
「ではいまよっさんからPC紹介どぞっ☆」
「次☆飛ばしたら口縫い付けて擂り潰してハンバーグにして腐らすで。
STR 筋力 10
CON 頑健さ 12
POW 精神力 8
DEX 敏捷性 10
APP 外見 11
SIZ 体格 18
INT 知力 13
EDU 教育 15
ダメージボーナスとやらは+1d4か。ガタイあるからな。名前は吉本カケル、私立探偵。年齢は三〇そこら。
HP15、MP8、SAN40、アイデア 65 幸運40 知識75 回避20・・・やな。」
「・・・体格18って最大値出ちゃってますけど。」
「でけぇだろ・・・。」
「ほい、次月ちゃん。」
「あ、はい。えっと、名前は政井月人で。職業どうしようかちょっと迷ってます。数値晒すんでお願いします。
STR 筋力 10
CON 頑健さ 13
POW 精神力 11
DEX 敏捷性 12
APP 外見 10
SIZ 体格 12
INT 知力 14
EDU 教育 9
ダメージボーナスは±ゼロですね。
HP13、MP11、SAN55、アイデア70、幸運55、知識47、回避24です。教育低いのに知力とアイデアが高いんで。」
「9で低いのかよ。普通に頭はいいが成績が悪いタイプだろ。学力とIQは違う、みたいな。」
「んー、ひらめきの子ぉ、ゆう感じやな。ワシやったら雇うで、外見も10あるし。」
「顔で助手選んでんじゃねぇよ!」
「まあ、いまよっさんらしいっか。月人って名前はー・・・。」
「月ちゃん呼びさせてーってワシが頼んだ。」
「ああはい、砂吐く前に勘弁願います。花宮さんどぞー。」
「雨宮シン。
STR 筋力 8
CON 頑健さ 5
POW 精神力 7
DEX 敏捷性 14
APP 外見 6
SIZ 体格 14
INT 知力 9
EDU 教育 12
ダメージボーナス±ゼロ。
HP10、MP7、SAN35、アイデア45、幸運35、知識60、回避28。」
「・・・因みに職業は?」
「俺ならこんな助手雇わねぇわ。数値低すぎ。」
「いや、まこっちゃんのPCやでこれ?まあ吉本探偵事務所では雇われとってええやろ。月ちゃんとは違うて閃きは弱いけど情報は強い感じやな。」
「図体でかいだけの木偶じゃねぇか。」
「でもさりげに敏捷とか教育高いですよ。身長を除けば割と花宮さんっぽくない?」
「これ・・・蹴られたりとかして死んじゃったりしません?」
「名KPが聞いて呆れるのだよ。」
「真ちゃんひどい!!」
次は技能っすねー、と高尾はぺらっと数々の技や学問とその基本数値を書いた紙を取り出す。どこから出した、と流石の緑間もツッコんだ。
「技能どうします?一応これくらいの技能は皆持ってますけど、職業柄これは持っておきたいだとか、個人的な趣味なんかもアリっす。」
駄洒落は語学かな、とぼそりと伊月が呟いたのには戦慄が走った。
「職業技能、まあ、探偵や探偵助手としての技能なら教養×20から割り振ってポイント上げて使えます。個人的な、まあ伊月さんの語学みたいな技能なら知力×10で。」
「好きなのを選んでいいのだよ。」
「軍技術格闘あるやん・・・。」
「軍から引退したとか辞めてきたとかならとれんじゃないっすかね。」
やっぱまこっちゃん知識系技能弱いん、だとか戦闘系誰がとっときます、だとか月ちゃん医学取るやろ、だとか遣り取りの後、割とプレイヤー本人に近い技能を取っていくのは何故だろう。ゲームなんだから全然別人になればいのに、と高尾は微笑ましく見守った。
「シナリオ的に運転はいらないかもっす。」
「ほなワシは職業にこぶし55、忍び歩き70、法律80で。個人は機械修理70、言いくるめ45、母国語は初期値で75か。あと歴史は60。こんなとこか?」
「えっと、じゃあ俺は、あ、こぶし初期値50ありますね、個人で持っておきます。医学も85、応急手当ては70で。経理も職業で一応30に上げますね。信用も職業で65、残りの数値で外国語40取れます?」
「あ、伊月お前母国語45なんだけど!?」
「じゃあ、設定生える感じすかね?両方喋れる、みたいな。」
ふむと緑間が反故紙の裏にボールペンを走らせる。
「では、雨宮さんの設定はどうですか。」
「個人値低いから、現在値で高いこぶし50、母国語60はそのまま。図書館75、電気修理50、職業値で目星65、ガタイあっから、跳躍は二重の意味で65まで上げる。あとは博物学を50だな。」
「「「二重の意味で?」」」
「成功して跳躍すっか、失敗して落ちてもまあ大丈夫だろって。」
「その辺はダイスの女神さんに祈って下さいませんかね。そんじゃ、前準備に設定生やして行きますよー!」
「導入部と言え。」
伊月が一度冷えたり空になったカップを回収し、ふっと花宮が背凭れにだれた。
「え、このまま行っちゃう系?」
「行きますよ?それがテーブルトークの良いところでしょ。キャラシはあくまで基準というかPCなんで、なにか判断や特別な行動の際に使うんです。基本はあくまでトークです。んじゃレッツプレイ。」
「つっても・・・。」
突然どうしろと、と伊月はカトラリー前で首を傾げてまた盆に今度は昨日紫原が赤司と荒木に伴われて持ってきたミルフィーユを切り分ける。
「月ちゃん、大きめにちょーだい。」
「あ、はい。」
「あっ、ずり!」
「・・・普段通りですよね、設定変わってないんで。」
「あ、なるほど。じゃあ、『カケルさん、所長の我儘今日で幾つ目ですか?』」
「そうきたか。『三つ目くらいちゃう?緑間クンやったら大坪クンにキレられて宮地クンに殴られとるな。』」
「真ちゃんwwwwww」
「何故俺がネタになったのだよ・・・。」
「で、吉本所長さんには横井という知り合いさんがおります!」
「ほう?どんな?」
「昔の友人で写真家志望だった男ですよー。手紙が届きます。」
「『吉本、手紙か来てっぞ。横井ってヤツからだ。』でいいか。」
「『月ちゃん、ペーパーナイフどこー?』。」
そうそうその調子、と高尾が満足そうに頷く。
「手紙の内容はどない?」
「はいはい、読み上げますよー。
『吉本カケル様。
前略 突然の手紙で驚いていることでしょう。
 これまでまったく連絡もせずに申し訳ございません。
 いま、私は鹿児島の西にある喜多島という島で暮らしています。
 ホテルも無く、観光客も滅多に立ち寄らないような小さな島ですが、海と空のきれいな楽園のようなところです。
 私が写真家を目指していたことは覚えていらっしゃいますか?
 この島には、私の求めていた美に満たされています。本当に素晴らしい場所です。
 ここに移り住もうと決心してから、しばらくゴタゴタとしていたため、みなさまとも疎遠になってしまい深く後悔しています。
 やっと最近、生活にもゆとりが出来たので、久しぶりにみなさんにお会いしたいと思い始めました。
 本来ならば、私がそちらに出向くところなのですが、せっかく夏休みシーズンですし、みなさんでこちらへ遊びに来ませんか?
 これからの季節が、一番、この島が美しくなる時期なんです。島の海岸では海水浴も楽しめます。
 気の早い話ですが、列車と船のチケットを同封しておきました。是非、近々、遊びに来てください。
 いまでも、私はみなさんを友達と思っています。

追伸
 そうそう、この島には外から来た旅人を「まれびと」と呼んで歓迎する習慣があるんです。
 きっと、みなさんも大歓迎されると思いますよ。』

という内容でっす!」
ふうん、と今吉は笑った。
「突然の、ゆうことは結構久しぶりの連絡になるんか。連絡もせずに、何年や?」
「9年す。手紙の中には内容にもある通り、列車の切符と船のチケット、それから一枚の写真が同封されています。」
「どんな?ダイスロールせなあかんか?」
「メモも同封されてますんでご安心を。鹿児島県の枕崎って港まで列車で、そこからチケットとは便宜上説明しましたけど、船のチケットは港漁連への紹介状でした。」
「なるほど、定期船やそういう類やなくて、民間の漁船に乗せて連れてって貰う、て感じか。」
「流石いまよっさんメタ話早いっすわー。写真の説明要ります?」
「寄越せ。」
「はいはい。島の風景写真ですね。無人の白い砂浜と青い綺麗な海ですね。」
「情報共有や、月ちゃん、まこっちゃん。」
「共有。」
「二人とも知っとけ、言うこっちゃな。で、二人に見せる。鹿児島の貴多島?架空の島やな?」
「メタっすけど、そうでっす。知識ロールで追加情報ありますよー。」
「三人とも振る?」
「お好きにー。失敗してもかくしかで伝わりますし。」
「ん、ほな一回目が十の位、二回目が一の位な。」
「了解です。あ、54。月人失敗です。幸先わっる・・・。」
「64。ちっ、失敗。」
「22―。成功や、びびったぁ!ちょぉこの助手二人使えへんやん!」
「「うっさい!!」」
「じゃあ、吉本さんは知ってたって事でー、手紙にあった『まれびと』についてです。」
「あ、それなら解る。民俗学的に旅人とか漂流物の昔の総称。」
「おお、流石伊月さん。貴多島ではそれから転じて、遠い旅路から訪れた客を神様みたいに大歓迎するって風習があるんですよ。」
「ん、共有な。」
「はい。」
「りょーかい。横田ってヤツに関しては情報ねーの?・・・『吉本、横田って具体的にはどんな人間だ?』。」
あっしまった、と高尾が笑う。
「話してええん?」
「吉本が話してもいいと判断するならですね。」
「そういえばPC作ってた時に何か読まされてましたけどそれですか?」
「うん、それ。ほな説明するわ。『横田は昔からの友達やってんけどな、十年くらい前にぱたっと行方晦ましてもうたんよ。写真家志望で大人しいけどひとに好かれるヤツでな、でもいつの間にかぱたっとおらんなってもて。』ゆうとこか?」
「『ご実家には連絡はしたんですか?』。」
「『月ちゃんらしい疑問やなー。』。」
「どうだ、名KPとやら?」
「してもいっすよ?」
「両親の答えは?」
「誰が連絡します?」
「んー、ワシら外面はええから誰でも一緒やと思うで?」
「じゃ、横井の実家に連絡はしましたが、両親とも何も知らない様子でした。」
「・・・ロール要るか?」
「いいえー?必須イベみたいなもんなんで、ほんとにご両親は何もご存じないしか言えません。」
ふむ、と伊月は顎を摘まんで。
「『カケルさん、手紙には是非来てくれとありますし、この手紙の住所に行ったらいいじゃないですか。チケットまで送って下さってるんですし。』。」
「伊月さん上手い。」
「だってこれ、メタっちゃうと貴多島に行かなきゃ進まない話だろ?てゆか純粋に興味あるし。鹿児島ってことはまじもんの南の島じゃん。」
「どんだけ寒いん嫌いなんすか。」
「嫌ってはいない。温かくなったら桜が咲くから。」
「どんな理屈やねん。まあそうやなぁ、『ほな行ってみよか。』因みにKP、ワシ大阪弁や京ことばは解るけど鹿児島弁は解らんで。」
「俺もちゃきちゃきの江戸っ子なんでご心配なく。」
つまり方言的な意味での心配は要らないという事で。
「行くなら下調べは要るよな。人口と面積くらいは知っておきたい。」
花宮が腕を組んで唸る。確かに実際遊びに行くなら知っておきたい情報であるし、過去の友人からの突然の手紙というのはちょっと不穏な気がする。何より高尾が持ち出してきたシナリオである。島を観光して終わる訳がない。
「じゃあ、本屋か図書館で地図でも見て。」
「図書館ロールっすね。」
「ロール要んのかよ!」
「簡単に情報入ったら詰まんないでしょー?はい、図書館、知識、あ、写真術ってのもアリかな。一回ロールで1時間くらいにしときましょっか。時刻はさっきおやつ食ってたんで、15時っすね。18時には図書館も本屋も仕舞っちゃうんで。」
「じゃあ俺やってみます・・・13っ!図書館ロール成功!」
「・・・強運っすね。地図発見ってことで、他のお二人はどうします?」
「別行動で情報探る。俺、図書館は取ったし。23。成功。」
「女神っしっかり!!」
「ええから情報寄越せ。」
「共有します。」
「俺も共有。」
「はいはーい。貴多島は鹿児島の枕崎沖、南の硫黄島との中間地点くらいの島ですよー。面積は5平方キロメートル。島周りは18キロ程度の小さな島ですー。こっちは月人さんの情報っす。雨宮さんは島民は10人程度しかいない特産物も無い電話も電気も無い島だって調べが出ましたー。」
聊か面白くなさそうに説明を寄越す高尾に今吉が思わず笑った。
「なんや、出せる情報全部だしてしもたみたいやな。」
「ですよ!これ以上はどんだけ調べても出ません!」
「はい、『おおきに。一時間くらいか、早かったな。』。」
「『そうですね、割とさくっと調べられました。』。」
「『こんくらいちょろいだろ。』」
「ちょろ甘なのだよ。」
「真ちゃんちょっと殴りたくなるから黙って。」
そうやってKPを一通りからかって、早速明日から出発しよう、とPC達の行動は決まったらしい。
「何時頃にします?」
「結構時間気にする?」
「んー、まあ基本、さっきの調べものとか一回ロールに一時間、みたいに使いますね。鹿児島なら二日くらいはかかるんで、まじのんびり列車に揺られてそっから更に半日かけて船旅で到着、って感じすか。あと、季節設定は夏なんで、皆さん軽装でも凍え死にはしないかな。」
「島民10人程度ってことは治安も悪くなさそうだし。」
「漁船に乗せてもらう、ゆーことは漁師の仕事が終わった昼頃か。」
「そうなりますね。『土産物でも探します?横井さんに。』とか雑談しながら。」
「ああ、『月ちゃんそれ漁村入る前に言うべきやったわ。』−とか?」
「ちょ、もう漁村入っちゃったwww」
「トークが足りないのだよ。」
「一応、皆さん装備品は?」
「名目は観光なんだから、いつもと同じだろ。着替えとアメニティと・・・いつもの装備?」
「ですね。半袖に寝巻は浴衣持参。日持ちする食べ物とナイフと、ああ、あとはちょっとした救急箱くらいなら持って行く。」
「せやね、いつも仕事に行くときほど大掛かりの装備はあらへんけど防弾装備くらいはあるな。」
「どこが軽装なのだよ!?」
「探偵はな、行く先々で事件に巻き込まれるもんなんや・・・。」
んーと、と高尾は少しだけ視線を泳がせて。
「じゃ、その辺に釣具屋あるはずなんで、少しの買い物と情報は手に入るかも・・・。」
「『連絡船などは無いんですか?』だね、まずは。」
「『旅の方ですか。貴多島への連絡船は無いのだよ』と。NPCは俺がやらせて頂くのだよ。」
「NPCの口調www」
「『万一に備えて釣り具買っておきます?』で。」
「せやな、『遭難でもしたら困るし、買うとこか。』ライターとナイフはあるで、捌くなり焼くなりで食えるし。あとは『水筒に水貰えるやろか?』か。」
「『どうぞ。』なのだよ。」
「なwのwだwよwww」
「花宮さん笑い過ぎ。」
「じゃっ、そろそろ漁船に行きますか!そろそろ昼ですよ、プレイヤーの皆さん。」
「『昼飯食おか。』」
「もう好きにしてください。」
「ほな13時頃にお邪魔するわ。向こう着くんは夜か。」
「あ、やべっ。」
「「やべ?」」
「夜てちょ、それフラグじゃないですか。」
「『前言撤回。ささっと乗るで。』。」
「ざーんねん、13時でっす☆」
「殴らせろ。」
「で、ここでイッコ問題が。」
「「「問題?」」」
「船旅ですよね?」
「ああ。」
「太平洋ど真ん中じゃないですか。」
「せやね。」
「船ちょう揺れます。」
「おいまさか。」
「そのまさかっす。体力値10以下の雨宮さんは列車の旅から引き続きの船旅で酔います。つかいもんなんないす。」
「てんめええええ!!!!」
うわぁそんなことあんだぁ、と伊月が感嘆し、やっぱなぁ、と今吉は笑った。
「んー、半日船か。そら雨宮死ぬで。まあ船長さん辺りに話でも聞いて吉本は時間潰すわ。月ちゃん日が高いとガード固いし。」
「翔一さん黙れ下さい。船長さんからのお話、月人も聞きます。」
「はいなー。五十歳半ばのベテラン船長さんどうぞー!」
囃したてた高尾に緑間は頷いて。
「解ったのだよ。『俺はこの辺りを漁場に三十年以上は生きてきたが、貴多島近くへ行くことはあっても上陸したのは片手で足りるほどなのだよ。』『焼酎と魚かあるが召し上がりますか?』気遣いはあるのだよ。雨宮さんは船室で横になっている。」
「随分上品な漁師さんやんけ。『ほな質問や。貴多島てどんなん?』てな。船長さんの客観でええ。」
「『特別な観光名所などは無いのだよ。海が綺麗で海水浴などには最適なのだよ。ただ、交通の便が悪いため、島にひとの出入りは殆ど無いのだよ。島は昔ながらの生活を守る平和な村だが。』。」
「だが?『含みのある言い方をしましたね?』。」
「『流石なのだよ。』船長は酒と客人で機嫌がいいらしい。昔話をしてくれたのだよ。『18年前、とある大学生が東京からあの島に渡って行方不明になったことがあったのだよ。捜索願も出されて警察が足取りを追い、貴多島に訪れたことが判明したのだよ。島の人間が言うには、数日の逗留の後に島の所有する船で枕崎まで送り届けたらしいが、その後の足取りは全く不明だそうだ。』という内容なのだよ。」
あらま、と今吉が呟いた。
「『事件やんけそれ。詳しく教えてください。』、っと月ちゃん、メモとって。」
「まさかの本業ですね・・・。」
「『俺は詳しく関わらなかったが、民俗学を研究していた白江という大学生なのだよ。』。」
「『詳しく関わらんかったのによう名前覚えとるやん?』。」
「『知り合いに白江という家があるのでたまたま覚えてしまったのだよ。』船長の持つ情報はここまでです。あとは酔いに任せて旅人への踊りも披露してくれます。」
「おい、船長めっちゃ酔っ払ってへんか。飲酒運転やんけ。」
「そんなこんなで18時っすね。夏場だからまだ夕焼けも遠いです。南の島ですしねー。なだらかな水面にひょこっと顔を出したみたいな外観で、活火山っぽいですが結構古いものなので風に浸食された島の起伏は少ないなだらかなもんです。島の三分の一は森、残りは畑や草地になってます。で、その島をぐるっとチョークで描いたみたいに、白い砂浜や道が見えます。島に点在する家の屋根瓦は赤や青で結構派手。小さなマッチ箱みたいすね。」
「『雨宮さんそろそろ着きますけど大丈夫ですか』と船室に入ります。」
「どうだ、KP。雨宮は動けるか。」
「肩貸して貰ってなんとかって感じじゃないすかね。月人はガタイも体力もありますし。てか三人ともガタイ悪くないすね、見返しますと。」
「綺麗に期待値を飛び越えているのだよ・・・。」
「ん、じゃあ島が見える場所まで行く。『マジでリゾート地じゃねぇか。』ってな感嘆だな。」
「ほな情報一応共有な。18年前の行方不明事件や。」
「そういう事には敏感すよねーいまよっさん。島の南側は海岸線の砂浜っす。海水浴には絶好の場所ですね。島の北側は岩場や森。そこに簡素な桟橋が掛かってて、港です。」
「『やっと解放されるぜ。』ってとこか。」
「船長が包みを渡すのだよ。可愛く包装された小さな包みだ。『以前にこの島の港に寄った際、小さな女の子と出会ったのだよ。遊ぶ友達もいない辺鄙な島でひとりでは可哀想だと思って用意した。これをプレゼントして、貴方方も仲良くしてやってくれると幸いなのだよ。島以外の人間に出会えて喜んでくれるのだよ。』とどこか照れくさそうなのだよ。」
「真ちゃんゆってて恥ずかしくねぇ?」
「ふはっ。お前が聞くのかよ。」
「えっと、『プレゼントの中身は?』ぶっちゃけ気になる。」
「髪飾りですよん。船長さんはそのまま巧みに船を操って港へ到着。」
「ストップやKP、他に船はあるか。」
「ありますって。疑ってますねもう。桟橋の近くにあった小屋から麦わら帽子の男が出てきましたよー。その船の持ち主、水野国彦さん。」
「『遠いところ、よく来て下さったのだよ。歓迎するのだよ。』」
「ってな感じで横井の家まで案内してくれまっす!」
さて、


付いていきますか?

***

初心者ですがすいませんどうしてもやりたかったのです!!時間軸は年が明けた三箇日明けのとある冬の暇な日。ただやってみたかっただけなので凄く中途半端に終わる。どっちかていうと座談会形式に近い。「www」とか出てくる。この時代ってラブクラフト成立してんじゃん!!って思ったらいてもたってもいられなくなったw続編希望があったら描きます。所詮初心者が手を出せる代物ではなかったのだよ・・・!手元がもうころころころころうっせぇwwwしかしとても楽しかったです!!シナリオはひきだしの中身さんの「まれびとの島」をお借りしてます。

2012年12月30日 01:36初出。

やってみたかったんですクトゥルフ・・・。読み返すとSANチェックがハチャメチャでした。

20130118masai