Special Thanks






 

ポケットから見つかる世に。

 

二度あることは三度ある、と言う。

俺は「たまたま」が通用するのは二回までだと思っている。それは尊敬する曽祖父も言っていた言葉だが、確かに経験則で俺はそう考えきてた。

つまり、「たまたま」同じ中学で「たまたま」同じ年に「たまたま」同じ部活に所属した日向順平と「たまたま」進学した高校が同じだった、というのは俺の中で矛盾が生じている訳だ。

勿論「たまたま」なんかではなくて、俺は推薦枠にあった進学校を蹴っている。俺は俺の意思で誠凛高校を選んだ。理由は色々あるけれど、強いて言うなら「たまたま」バスケ部が無かったからだ。新設校だったから校風も自由だし、第一回生ということは特例が無ければ最上級生であれることが気楽でもあった。

さて、ここまでで俺は何度「たまたま」そうなった、と言っただろう。

「たまたまボールがそこにあった。」

「・・・黙れ。」

ツッコミにキレと覇気が無い。上出来ってことだ。若しくは別のことを考えている。

俺は「たまたま」が通用するのは、偶然が重なることは、二度までだと考えている。三度四度と重なることは、それは何かの作為が何処かで仕込まれた、所謂必然って事になる。

大声で叫びたい位の奇妙な作為だ。

段々捻くれて行く日向も考えを拗らせた相田もだ。それに俺もバスケは諦めた。そんな三人が「たまたま」同じ「たまたま」バスケ部の無い高校に進学した。これは明らかに異常な現象だろう。何らかの作為があった。勿論俺がやった。

俺達が出会えた奇跡に胸が熱くなる。ほら、月が笑ってる。なんてね。

木吉鉄平と出会ったのは偶然じゃ無い。俺は無冠の五将がどんな進路を取るか、地味に調べていた。キセキの世代が行くであろう高校だって、彼等は名前が自覚がないまま目立っていたから、簡単に調べる事が出来た。個人情報なんて煩い時代でも、結局人の口に戸は建てられ無いのだから。

木吉は予想通り、バスケ部の創設に乗り出した。俺は乗った。日向は渋ったけれど、結局あいつがバスケを捨てるのは不可能だと俺は思っていたから。寧ろそういう点では自分のほうが厄介だった。敗北をトラウマにしていたのは俺で、試合をするのが怖かった。練習では何とかなるけれど試合では難しかった。敗けるのが怖かった。

その度に背番号4を見た。そうやって鼓舞してきた。これは二度三度、四度五度ってレベルじゃなかった。反射、だった。ひとよりちょっと広い視界に必ずあの背中を見て、パスを出してた。日向は俺からのパスを必ずスリーポイントで決めてくれて、木吉がダンクしてくれる度にこころが熱くなった。内外の二枚看板と、それに俺を加えて三本柱なんて呼ばれた日には帰り道にしぬんじゃないかってくらい嬉しかった。木吉がすぐ戻ると言いながら泣いたと聞いた日はしぬほど悔しかったけれど。

二年に上がって部員勧誘して、「たまたま」俺等を知ってた黒子が入学してきた。言っておくけれど、火神の存在は知らなかった。

木吉にメールで下級生の様子を知らせたり、新しいフォーメーションも作って、今後のバスケ人生を蹴って俺達に半年をくれた木吉が帰ってきて、新しいチーム体制でまた動き出した俺達には、キセキの世代や無冠の五将との全面戦争が待っていて。

「さて、俺達はどうやって今を生きているのでしょうか?」

「なんで誕生日おめでとうの返しがそれなの、伊月。」

「俺と出会ってくれてありがとう、皆。」

「それは僕らのセリフです、伊月先輩。」

神様にお礼を述べる、生まれ日に。

何度も何度も重なった偶然は、それはもう必然だ。ほら、今夜もきっと月は笑う。

敗けない強さと優しさをくれた、仲間に今、大声で叫びたい、こころからのエールと感謝の言葉を。

 

手と手を繋いで伝わるぬくもりと、仲間の笑顔と、それが明日にあること。幸せってそんなもの。それが「たまたま」手に入れたものであったかどうか、それは月だけの内緒の話。

























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初出:2012年10月23日


伊月先輩お誕生日おめでとうございます。 今月探偵、ご要望頂きましたんでシリーズにまとめておきました!色々描いて来てますが、毎回閲覧、評価、ブクマにコメント、いつもありがとうございます!!宝物です。今回のBGMは稲垣吾郎の同タイトルでした!

20141012masai