呪いの連鎖、とでも名付けておくか?












花宮助手の人伝話。












渋皮って旧家があった。
さあ?嘘か本当かは自分で調べてせいぜい疲弊しな。
渋皮家の爺が死んで、その甥にあたる野郎が形見分けに水晶玉を貰ってきた。床の間に飾ってあったもんで、誰がもらうかって話になったら、甥が真っ先に手を上げて、無事に手に入れたんだよ。
理由?ねーと駄目か?まあ、あったんだが。伊月の食いつき半端ねぇなおい、日向の精神状態可笑しくなったらコイツのせいじゃね?
爺は甥に、自分が死んだらそれを売り払えってな頼みをしてたんだと。で、既に結婚して家庭もあった男は家に一旦持ち帰った。細君は気味悪がったが、そういう事情なら、と買い手が見つかるまで家に置いてくれた。
問題はその息子。
きちんと包んであったそれを、息子はいつの間にか部屋に持って行って拝むようになった。
親としては複雑だろうが、先祖の形見だしな。先祖を大事にするのはいい事だつって、ほっといた。その一月後だ。
息子は通っていた学校で級友にナイフを刺すって事件を起こしちまったんだよ。こころ根の優しい息子がどうしてと両親は嘆いた。しかも、息子は刺した事を覚えてないともきたもんだ。
あー、思春期のナンタラってそれもあったかもな?しきりに細君が水晶玉を怖がり始めたのもその頃だった。
ん?見ず知らずの人間に毒吐いても無意味だろ、バァカ。
でだ、あまりに気味悪いって細君の言葉と、息子の豹変ぶりに男も流石にあぶねーなってなったんだろ。家族には内緒で拝み屋に相談したんだよ。
拝み屋の言うことだと、水晶玉には戦国時代の武将の霊が入ってるらしい、つって。勇敢で武功はあったが部下に恵まれずに裏切られて暗殺されたんだってよ。耳が痛くねぇか、探偵サンよぉ。
水晶玉はそのまま処分してもらって、代わりに同じ大きさの水晶玉を買ってきてすり替えた。細君が気味悪いと訴える事や息子の豹変も収まって、男の家はめでたしめでたし。
で、その一月後。
男の同僚が包丁で刺されて死んだ。同僚は親戚の大学生を下宿させててな、その大学生に刺されて死んだんだと。その葬式で、男は吃驚することになる。
床の間に、飾ってあったんだよ、水晶玉。
同僚は男の家で水晶玉を見てから気に入って、ある日何処からともなく買ってきて飾ったって話だったってよ。
渋皮家のが質やら通して流れたのかどうだか、それの真偽はまあ、黙っておくとしようかね。


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何本目かな。今回は花宮助手で。

2013年2月17日 22:27初出。

20130404masai