探偵事務所の二階には、書棚と作業台と、仮眠用にベッドが置いてある。
仮眠用にと言っても今吉が拘った一品で、花宮が手入れするそのベッドは真綿が身体を包むように、シーツはするすると滑るように陽の薫りがする。











今吉探偵と伊月助手と白い欠片。












ぐりぐりとその深みを抉って、戦慄っとするほど静かな部屋に甘い啼き声と嗚咽が響く。小さな律動に、悲鳴じみた声の持ち主は躰を蝕む熱に男の二の腕を切り揃えられた爪で刻んだ。
「あ、しょい、ちさ、だし、た・・・ぁ、い・・・。」
「さっき、仰山出したやん?」
じゅちゃりっ、とその滑りに使われた結合部を鳴らされて、白い喉が仰け反った。ぽろぽろと涙を落とす白い裸体は花色に染まって、体内の燻る熱が拷問にも似て甘く激しく蝕み、苦し紛れに男の脇腹を蹴った。骨張った指の作る輪で根元を戒められて、あん、と甲高く啼いて蕩けた黒曜石の瞳は普段の凛とした、いっそ怜悧ささえ浮かぶ伊月からは想像出来ないくらいに扇情的で官能的だ。
「いやっ・・・、あ、あっあぁー!」
腰骨を撫ぜられて、ざわっと駆け登らされたそこは真っ白にちかちかと脳を焼く。
「ん・・・っ、ぅ。」
ぶるりと狂れた痩身に、今吉は口の端を吊り上げた。
「なんや、月ちゃん、出さんでもいけるんやん。」
「あっ、らぁ、だめっ。翔一さ、いや!」
厭らしくもぐもぐと蠢く内壁から一度浅くまで抜き、右脚を抱え上げて左脚を跨ぎ、腹を破りそうな勢いで突き入れた。悲鳴が上がって、伊月の好む場所を小刻みに擦ってやったら、精を吐かない絶頂に感度が上がりまくった身体は反射的に逃げを打ち、肌が打たれる音が激しくなるたびにぎゅうぎゅうとシーツを皺くちゃにしてしまう。
「あー、っあ、く、ぅーんっ!あああ!あ!」
「こら、俊。」
とろとろとシーツを汚した白濁に、中の嬬動に導かれて体内に散らかされた熱い飛沫に恍惚の呻きが零れた。
「っは、ん・・・。」
「締めすぎや月ちゃん、出てもーた。」
担ぎ上げた足を降ろしてやって、未だ繋がったまま、囀る様なくちづけを繰り返して三度目に熟した無花果のようなくちびるを割って粘膜を蹂躙した。
「っ、うぁ・・・しょー、いち、さん・・・んっ。」
「うん?」
「ぬい、て。」
うん、と笑った今吉だが、止める気は更々無いらしく、萎えていないそれで内壁をぐずりと抉るように擦った。
「やん!」
甘ったるい悲鳴に、そのまま伊月は顔をクッションに埋め、ひくんと喉を鳴らす。背後から覆い被さられて、真っ赤な耳を食まれ、背骨をそろそろとなぞられ、胸の粒を摘ままれて、性感の上げられた身体は若魚のようにみずみずしく跳ねた。
「泊まるって、ゆうてったんやろ?」
「・・・っ、う、ぁ。」
くたっと力の抜けた肘が間抜けに腰を掲げる形になって、嬲られる若い体は揺らめいて男を誘った。わざとらしく水音を聞かされるともう駄目だった。ぐっと腰を上げられ不覚をごりごりと掠られると、笑う膝が持ち上げられて拡げられた。しゅすっと爪先がシーツを蹴る。
「あ、や、やめ、・・・っは、っあ、・・・!」
掻き混ぜられるような抽送に、天使の輪色に耀く黒髪が汗ばんだ首筋に張付く。喘ぎはいっそ悲痛に咽喉にひりつき、ぎゅうっと息を詰めて緊張した痩躯は大きく跳ねた。
「っあ、ぁ・・・。」
「あんま暴れるもんちゃうで?」
「やらぁ・・・。もぉ、や・・・。」
すっかり脱力する体をまた今吉は割り拓き、縋る様に揺れる指先の意図を汲んで指を絡めて頬に寄せれば伊月は花のように笑った。
「あ、ぁ、んあ、・・・しょ、いっ、・・・さぁ、あぁ。」
「ほんま、健気。」
かわええ、と囁いてやれば、こめかみを通って落ちていく涙にも感応してちいさく啼いた。
「水汲んでったろさ。」
情の交わし合いはきっとまだ続く。小休止、とでも言うように一度今吉は起き上がって、ぼうっと見上げてくる蕩けた瞳を覗き込んで柔らかく笑う。いつもの胡散臭さは鳴りを潜めてただ優しく汗ばむ呼吸の弾んだ伊月の頬を撫ぜてやり、階段を下りてポットに残っていた白湯を湯呑に汲んだ。
「しょーいちさん。」
掠れた声に促されるまま口に含んでくちびるを合わせて飲ませた。ほっと息を吐くように笑った肩口から体温は一度落ち着いて、震える指先でシーツに手を突いてゆるゆると起き上がる。
「いた・・・っ。」
「ん、すまんの。おいで。」
こてんと肩に預けられてあえやかな呼吸を漏らした容の良い頭を今吉はさらさらと絹糸でも操っているかに撫ぜて、くんと鼻先を動かせば、石鹸の清潔な香りに色香が混じった実に不思議で、劣情と言うには清潔で、清楚と言うには淫らな、そんな薫りが脳髄を融かす。背骨のひとつひとつを数えるように指を下していけば、ん、とあまく縋りついてくる。
尾てい骨を潜って、散々犯した後孔は熱を持ち濡れている。
「翔一さん・・・?」
前腕に防御創の痕がある腕は均整のとれた筋が綺麗に浮いて、暖かく白い痩身を抱きしめる。真っ白な背中が好きだと、今吉は抱き合うたびに思う。鷲の翼でも肩甲骨は飾れば見事だろう。背中の皮膚がズタズタにされたときは脳が沸騰するかと思った。すぐに医者に頼れたお蔭で綺麗に治ったそこは真珠でも磨いているような錯覚を起こす。
そろっと胸元に滑った指先に、今吉が覗き込めば、昔の刀傷を愛おしそうに辿る指先がある。白魚にしてはきっちりと骨を筋肉線維が護っていて、それでも元になる骨の造りが細いのか、するりと柔らかな関節は情交の熱で微かに振れる。
「どないした?」
「これ、どうしたの。」
問うでも詰るでもない、純粋な疑問が音になった、そんな声に少しだけ今吉は笑った。
「見事な居合いやったな。ワシのが強かったけど。」
「・・・こっち、は?」
ああ、聞いてもいいのだ、と安堵したように、脇腹に走る古傷をなぞられて少しくすぐったい。
「骨折ったんくっつけてん。潜った修羅場がちゃうぞ?俊。」
それにこんな傷はお前には似合わん、とくちびるを塞げば、とろんと睫毛が下りた。くちゃっ、と舌を絡ませた接吻は再び熱を上げさせるには単純な作業で、ゆったりとベッドに倒れ込んだ。
詰襟に隠される首筋に痕を残し、鎖骨には歯形が残った。ん、と時折鼻から抜ける声が遠慮なく煽ってくれるので、また欲に膨れ上がったそれを襞に押し付けた。先ほど出した白濁が女の膣のように中を濡らして、ぬくりと果たして挿入は手間が掛からなかった。
「あ、っ。」
ぴくんと撓った背をそのまま抱き上げて、胡坐を崩したような足の上に載せてやった。
「あ、も、っと、ゆっくり・・・っ、ん。」
「俊が飲み込んだんやで。」
腹の奥に入り込んだそれに苦しくて喘げば苦笑交じりに返される。
「うあ、狂い、そ。」
「ご随意に?」
「っは、んっ。あ、きもちい、あ、ぁっ!」
そのまま臀部を支えられて揺すられて、今吉の背中に爪痕を刻んだ。
「や、しょいちさ、も、でな、あっ、あぁあっ。」
く、っと白い喉が晒されて、縋る指に不自然なまでの力が籠り、腰から昇ってくる甘すぎる感覚に伊月は目をきつく閉じた。赤ん坊が縋りつくかのような、理性を飛ばした力がぎっと背に掛かって、今吉は目を眇め、低く呻く。
「しょういち、さ、しょういちさん!」
蠢いたそこは搾り取る様に動くから、ぐちゃりと深くを貫く。
「あ、んっ!」
高く嬌声が上がって、きゅんと爪先がまるくなる。びくりと大きく撓らせた身体はぐったりと脱力した。
「はやい、で!」
「あ、やっあー!ああぁあっ!」
それを押し倒してシーツに縫い留め、きゅうきゅうと収縮する中を聊か乱暴に擦り上げる。過度の快楽に悲鳴が上がって、つるりと精液になりきらない透明の液体を吐き出した伊月はぼろぼろと涙を散らして首を振った。
「やぁああぁ・・・っ。」
ゆるして、と縋りついた美貌は悦楽に歪んで酷く妖艶だ。
「あ、っ、しょいち、さ、はやく、いって!」
蕩けそうにそう訴えて、するりとしなやかな脚が腰に絡みつく。今吉だってこの年齢までこんな少年と呼んでも良さそうな青年にここまで嵌りこみ誑し込まれるとは思っていなかった。
全身が汗を吹くような鼓動に、甘い気怠さにぎゅっと腕の中の存在を確かめるように抱きしめると、肩に縋っていた華奢な骨格がゆっくりと背中に回される。肩甲骨の形をなぞるような動きに今吉は少し笑った。単純にくすぐったかった。
「ん、・・・あつ・・・。」
「月ちゃんきもちええ。」
「もう・・・。」
んっ、と抜かれる刺激に喘いだ伊月をゆっくりと寝かせ、先ほどまでとは打って変わったさっくりした手つきで体を拭う。
「・・・うー・・・。」
「冷やしたら腹壊すで。」
「ん・・・、く。」
ぬぷぬぷと抜き差しされる指はぴくぴくと振れる痩躯になるべく負担の無いよう、中に散々出した精液を掻き出す。
「っひゃ!」
「お、すまん。」
「ちょ、も、やめ・・・っ。」
くにゃりと掠った場所に声が上がり、身を捩った伊月は涙目で今吉を睨みつけ、カーテンの隙間から夜の光を浴びる。陶器のように冷たく耀く肌は触れればきちんと温かさがある。
「はい、おしまい。」
「・・・どうも。」
浴衣を羽織らせて、厚手の上掛けで囲ってやれば、そのまま冷える深夜に足を絡めた。浴衣を羽織る際の今吉の背中に見た爪痕に伊月は顔を真っ赤にしてどうしたものかと悩んだが、ここまで滅茶苦茶に抱かれればお互い様だ。クッションを奪って横に腕枕をくれる今吉のくちびるを掠め取ってやった。
「・・・月ちゃん。」
「はい?」
「もうせんよ?」
「しませんよ!」
お誘いと取られたらしいそれにはひとつがなって、そのままもぞもぞと収まりやすい場所を探す。恋しいひとの腕の中で恋しいひとの香りの中で微睡めば、朝は一足飛びでやってくる。
「さて月ちゃん問題です。」
「・・・はい?」
その前に、今吉には片付けて仕舞いたいことがあったらしい。ベッドサイドの作業台に腕を伸ばして、ちいさな包みを取り出した。
「これは何でしょう?」
「・・・え?」
少しだけカーテンを開けて月光を入れれば、梅鉢の紋が入った袱紗が解けた。白い、奇妙な丸みを帯びた、石片のようなものがつるりと輝いた。
「えー・・・。」
少し、悩んだ。本当に少しだけ。そして、なんてもん持ってんだ、と思った。
「側頭骨ですね。形状からして・・・男性ですか。」
「流石ワシの月ちゃん。」
今日月ちゃんが来る前にお客さんあったんやー、なんて今吉は長閑に笑っているが、物品が物品だけに伊月は笑えない。
「何でそんなもの。」
「よお見てみ?」
今吉が指示した場所には、波状の傷が付いていた。なんてもん持ってんだ再び。
「浮気調査はやらないんじゃないですか。」
「まあ、話半分面白いに聞きぃや。」
「何が面白いですか。とっとと依頼主に返してらっしゃい。」
まったく、とじっとり睨み付け、くつくつと笑う今吉に背を向ける。折角睡魔と踊れそうだったのに、なんて。
「なんで、こんなもん食うたんやろなぁ。」
「欲しかったんじゃないですか。」
「欲しかったからって食うか、普通。骨やろ。」
不毛、と伊月は思った。再び甘ったるい気怠さに重い体で寝返りを打って、その欠片で手遊びをしている今吉の心臓に手を当てて、このまま掴み出せればいいのに、とどこか物騒な考えが過る。
「俺は、子供は産めません。」
「ん?当然やろ。」
「だから、欲しかったんでしょう。」
ぱちっ、と狐目が瞬いた。
「あなたの情報が、DNAが、俺は欲しい。俺が女であれば翔一さんの精子を余すことなく受け入れられるでしょう。子供だって作れた。産めた。それを遺せた。あなたの血を、どこか遠い未来へ託すことが出来た。俺はそれが出来ないのがもどかしい。翔一さんがここで途絶えてしまうのが悔しくて堪らない。」
黒曜石のような瞳が、真っ直ぐに今吉を射抜き、てのひらはとくとくとその鼓動を聞いている。
「ゆうたこと、なかったか?」
「何をです。」
「ワシは、俊さえおったら、他に何もいらん。」
しゅすりと袱紗は骨を包み込み、作業台に戻った。
そうですか、と伊月は笑った。そうやで、と今吉は囁いた。


今吉探偵事務所、明日は所長が個人的に休業予定。
急な御用の方は花宮助手の愚痴にお付き合いください。

***

あっ、石投げないで!食事中の読みは控えたほうがいいです。スカとかそういうのじゃ一切無いけど少なくとも私は吐き気を催したw私ばっかSAN値削られるのが悔しかったのでネタにしました。三次元は二次元より奇なり。今夜金縛りに逢わないことを祈るばかりです個人的に。まあ今までの人生金縛り逢ったことないんですけどw笑えるくらい低血圧で寝起き悪いのに金縛りはなったことない。ところで最近今月とか月受け増えてきて嬉しいです!!もっと増えろ下さい!!!今吉先輩は胡散臭いのと関西弁と眼鏡と色々美味しいところがあるんですが、私田舎育ちで目がいいもので眼鏡の描写はすいません吹っ飛ばしてます。日向主将の場合もそうですすいません!普通えっちんときって眼鏡外す・・・ん?どうなん?関西弁も胡散臭さも何とかなるんですけど(ただし時折神戸弁になる。)(例:「〜やってん」が基軸となる関西弁で「〜やっとん」が神戸弁。とっととっと言うのは基本兵庫。)眼鏡がどうにもならんのですよ誰かたっけてーってあ、私リアルに今月の仲間いないっていうか黒バス仲間いないんですよ誰か!!今月エチャやるってゆったらどなたか来てくださいますかねぇ。やるとしたら土曜の深夜か日曜の深夜か・・・あ、まあいいや。今回は今月えろです。羽目外しましたすいませんお楽しみ頂けると幸いです。■タグありがとうございまっす!!今月探偵シリーズ楽しんで頂けで幸いです!!とでも言うと思ったかバァカ!幸福すぎんだろ!!(12/3


2012年11月29日 01:15初出。

実は実話。ktkr。

20121206masai